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第218話 如月家の娘でしょう

Autor: 花柳響
last update Fecha de publicación: 2026-09-21 06:01:59

「間違いだったかどうかより」

 司が、唇を噛んだ。

「俺、君を選ぶことで、栞を黙らせた」

 未央は言葉を失った。

 そんな言い方をされたことはなかった。

 清潔に保たれた廊下の匂いが、かえって閉じ込められた部屋の湿気を際立たせていた。

 司が未央を選んだ。それだけは、ずっと疑ったことがなかった。

「やめて」

 未央は低く言った。

「そんなふうに、私たちのことを汚さないで」

「汚れてたものを、見ないようにしてただけだと思う」

 司の声は震えていた。

 震えているのに、逃げない。

 未央は、急に怖くなった。

 司は、いつも逃げる人だった。曖昧に笑い、家のせいにし、未央が泣けば黙った。だから扱いやすかった。

 なのに今日は、逃げない。

 逃げない司は、未央の知っている司ではなかった。

「私、本物なの」

 気づけば、その言葉が口から出ていた。

 桐生会長が目を細める。

 司も黙った。
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     午前二時過ぎ。  私を捨てた父が、コンビニのレジの前に立っていた。 「栞、少し付き合え」  自動ドアが閉じる。外の湿った夜気が途切れ、店内には揚げ物の油と、温めすぎたおでんの匂いだけが残った。  夜勤の店員は私一人。レジ横のホットスナックケースが、じり、と小さく音を立てている。  如月隆一。  如月グループの代表で、かつて私が父と呼んでいた人。  三年前、私を家から追い出した男だ。  私はバーコードリーダーを静かに置いた。薄い手袋越しの指先が震えている。それが、何より腹立たしかった。 「……何の御用ですか」 「話がある」 「申し訳ありません。雑誌と公共料金のお支払いでし

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